プログラム

日程表

日時
2022年1月22日(土)12:00~17:40
場所
神奈川県総合医療会館7階
開会
13:00
評議員会
12:00~12:30 神奈川県総合医療会館 2階会議室A
会場
神奈川県総合医療会館講堂(7階)・神奈川県総合医療会館 2階会議室A・ロビー(7階)[アクセス]

神奈川県総合医療会館
時間 7階
講堂(150席)
2階
会議室A(25席)

12:00 ~ 12:30

 

評議員会
13:00 ~ 13:10 開会の挨拶、総会  
13:11 ~ 14:06 特別演題I
14:10 ~ 14:31 一般演題1
院内感染対策 1 ~ 3
14:33 ~ 15:01 一般演題2
抗菌薬適正使用 4 ~ 7
15:03 ~ 15:38 一般演題3
 検査、疫学、基礎医学的検討
 8 ~ 12
15:40 ~ 16:01 一般演題4
症例報告I 13 ~ 15
16:03 ~ 16:24 一般演題5 
症例報告II 16 ~ 18
16:30 ~ 17:25 特別演題II
17:30 ~ 17:40 学術奨励賞・会長賞発表
閉会の辞、次期当番会長挨拶

プログラム

評議員会 12:00~12:30

開会挨拶・総会 13:00~13:10

特別演題I:13:11 ~ 14:06

座長 東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学 浅井さとみ

・院内感染対策における組織的活動の重要性:次なるパンデミックに備えて
  東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学 宮地 勇人 先生

一般演題1:院内感染対策 14:10 ~ 14:31

座長 帝京大学医学部附属溝口病院第四内科 菊池健太郎

1.肝炎ウイルスラウンドによるHBs 抗原、HCV 抗体陽性者の専門医への紹介促進

藤岡ひかり1)、菊池健太郎1)、大谷津 翔1)、成山 倫之1)、守時 由起2)、幸山 正1)、吉田 稔1)、原 眞純1)

1) 帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
2) 秋田大学大学院医学系研究科総合診療・検査診断学講座

【背景・目的】肝炎ウイルス感染者は肝細胞癌の発生リスクが高いことが知られている。当院では術前・入院時の肝炎ウイルス検査陽性例に対し、Infection Control Team が肝炎ウイルスラウンドを行い、肝臓専門医への受診が必要か検討し、電子カルテに紹介依頼を記載している。今回その効果を明らかにする。
【方法】ラウンド開始後1年間にHBs抗原陽性、HCV抗体中力価・高力価陽性であった例のうち、肝疾患による通院 歴が不明な例の紹介を依頼し、HCV抗体低力価陽性例にはHCV-RNA測定を依頼した。その後に肝臓専門医へ受診した数を調査し、開始前1年間と比較した。【結果】HBs抗原陽性92例中29例の紹介を依頼し、16例(55.2%)が受診した。HCV抗体中力価・高力価陽性78例のうち18例の紹介を依頼し、13例(72.2%)が受診した。ラウンド開始前は肝疾患による通院歴が不明な例がHBs抗原陽性で33例、HCV抗体中力価・高力価陽性で20例あり、それぞれのうち9例(27.3%)、6例(30%)が受診し、開始後の受診率はいずれも有意に増加していた (p<0.05)。紹介されなかった例は検査や治療のための短期入院が多かった。
【結論】肝炎ウイルスラウンドにより受診率は有意に増加し た。より受診率を上げるため、短期入院例の担当科医師へ ラウンドの意義周知などが必要と考えた。

2.過酸化水素噴霧による環境消毒の有用性の評価

谷津 亮祐、浅井さとみ、宮澤 美紀、梅澤 和夫、小林 倫子、橋本 昌宜、宮地 勇人

東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室

【はじめに】薬剤耐性菌で汚染された病室内環境は医療関 連感染の原因となりうる。薬剤耐性緑膿菌やアシネトバクターは環境に長期に残存しやすく、病室内清掃及び消毒は確実に実施する必要がある。当院では2019年11月以降、特定の病棟(病室)で薬剤耐性アシネトバクター(DR-Ab)検出患者が続発した。そこで、銀を含む過酸化水素溶液ミスト噴霧による消毒を行い、その消毒効果の評価を行った。
【方法】DR-Ab検出患者が入室している多床室を対象に、 消毒前~消毒4週間後の期間中、定期的に落下菌測定を実施した。検出されたDR-Abに対し、PCR-based ORF Typing(POT)法を行い、臨床分離株との相同性を比較した。
【結果】銀を含む過酸化水素溶液噴霧による消毒実施前は、DR-Ab等50~100コロニーの細菌が発育した。DR-Ab は臨床分離株と同一の遺伝子パターンであった。消毒直後は2~16コロニーの細菌が認められたが、DR-Ab等薬剤耐性菌の検出はなかった。消毒4週間後においても、DR-Abは検出されなかった。
【考察】銀を含む過酸化水素溶液噴霧による環境消毒は、薬剤耐性菌の環境残存数を減少させることにより、医療関連感染のリザーバーとしての環境リスクを低減することが示 唆された。ミスト噴霧は操作が簡便であり、効率的に室内環境消毒ができるため、薬剤耐性菌のアウトブレイク抑制に有用であると考えられた。

3.病院で使用される速乾性擦式手指消毒薬携帯用ポーチの細菌汚染と管理状況の検討

伊藤 道子1)、二宮 茜2)、石井 和子3)、真田 麻美4)、島田 明恵5)、大野 典子6)、金山 敦宏7)、林 俊治8)

1) 北里大学看護学部、2) 宇都宮第一病院、3) 千葉中央メディカルセンター、4) 羽後町立羽後病院、5) 伊東市民病院、6) 日本生命病院、7) 防衛医科大学校 防衛医学研究センター、8) 北里大学医学部

【目的】病院において速乾性擦式手指消毒薬は携帯用ポーチ(以下、ポーチ)に入れた状態で使用されることが多い。しかし、このポーチの細菌汚染およびポーチを介した細菌の伝播についてはほとんど検討されていない。そこで、ポーチの細菌汚染の状況と管理状況を調査した。
【方法】看護師(136人)からポーチを提供してもらい、個々のポーチの管理状況に関する質問紙調査を行った。さらに、それらのポーチの細菌汚染状況およびポーチを触れることで手指に細菌が付着するかどうかを検討した。
【結果】全てのポーチ表面から細菌が検出された。最大の汚染菌数は100CFU/25cm2であった。菌種は主にブドウ球菌 属、バシラス属、コリネバクテリウム属だった。さらに、 滅菌手袋を装着した手指でポーチに触れた後に、手袋表面 の細菌汚染を調べたところ、上記と同様の菌種が検出された。汚染菌数の大きいポーチに触れた時の方が、手袋表面 に付着する菌数が大きくなる傾向が有意に認められた。定期的に洗浄が行われているポーチは洗浄が全く行われていないものに比べ汚染菌数が有意に少なかった。
【考察】病院で使用されているポーチは高頻度に細菌に汚染されていた。さらに、その汚染ポーチを触ることで手指に細菌が付着することも明らかになった。ポーチを清潔に維持するためには、定期的に洗浄することが有効である。ポーチの管理についてもガイドラインが必要であろう。

一般演題2:抗菌薬適正使用 14:33 ~ 15:01

座長 北里大学医学部附属新世紀医療開発センター横断的医療領域開発部門感染制御学 高山 陽子

4.北里大学病院における経口抗菌薬の使用量推移および適正使用に向けた介入効果の検証

佐藤 瑶祐1)、瀬戸 良教1)、二本柳 伸1)、星山 隆行1)、高山 陽子1)、厚田幸一郎2)3)

1) 北里大学病院危機管理部感染管理室、2) 北里大学病院薬剤部、3) 北里大学薬学部

【目的】AMR対策アクションプランにおいて、経口のセファロスポリン系(CP)、フルオロキノロン系(FQ)、マクロライド系(MC)の使用量を2013年比で50%削減する成果指標が示された。
当院では周術期予防抗菌薬の見直し、第三世代CPの整理統合および経口広域抗菌薬長期処方例の介入を行ったた め、その詳細を報告する。
【方法】2013年1月から2020年12月までに処方された経口抗菌薬(CP、FQ、MC)の年次使用量(DOT)を入院と外 来で区分し、介入前後のDOTの経時変化ならびに変動 要因を調査した。また、2020年次のDOTが2013年次の50%以下に減少したかを評価した。
【結果】2020年次の各DOTは、2013年比でCPは外来48.6%、入院28.9%、FQは外来76.3%、入院115%、MCは外来62.0%、入院47.9%を示し、CPは周術期予防抗菌薬の見直しならびに第三世代CPの整理統合による効果が実証された。他方、FQは現行の介入方法が不十分の評価となった。
【考察】外来でのFQの長期使用例はASTラウンドで介入するが、処方変更に至らない事例が多い。また当院の長期使用定義以外の処方増加も散見され介入の余地がある。MCは抗菌作用以外を期待した処方が多く速やかな介入は不要だが処方推移の継続的監視は必要である。
【結論】CPは介入効果が実証されたが、FQへの介入方法の再考が課題である。

5.抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動が抗菌薬長期投与に与える影響

橋本 昌宜1)5)、浅井さとみ2)5)、梅澤 和夫3)5)、宮澤 美紀4)5)、小林 倫子5)、小澤 豊一1)、久田 明史4)、宮地 勇人2)5)

1) 東海大学医学部付属病院薬剤部、2) 東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学、3) 東海大学医学部総合診療学系救命救急医学、4) 東海大学医学部付属病院臨床検査技術科、5) 東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室

【背景】不適切な抗菌薬長期投与は、菌交代現象や耐性菌出現リスクを上昇させ在院日数や医療費を増加させる原因となる。
【目的】AST活動が抗菌薬長期投与に与える影響を調査した。
【方法】ASTが本格的に活動開始した2018年度は14日を超える長期投与症例に介入した。2019年度は使用量の多い抗菌薬について、10日以上投与を対象に追加した。2020年は長期投与が多い診療科について、5日以上投与を対象に追加した。AST活動前から2020年度までの長期投与について比較検討した。
【結果】長期投与の症例数および平均投与日数は、2017年度372件・26.4日、2018年度415件・24.3日、2019年度269件・24.4日、2020年度271件・25.4日であった。2018年度では平均投与日数が2.1日減少し、2019年度では症例数が146件減少した。2020年度では早期介入した診療科において長期投与症例が大きく減少した(41件→20件)。症例数が大きく変化した2018年度と2019年度を比較シミュレーションすると、少なくとも549万円から864万円の薬剤費削減効果が認められた。
【考察】抗菌薬長期投与に対するAST 活動は長期投与症例を減少させた。長期投与症例の抗菌薬の種類・診療科等を詳細に分析し、その結果に応じて重点的に介入する対象を変更する戦略は、抗菌薬長期投与を改善できることが明らかとなった。

6.第3 世代経口セフェム系抗菌薬の適正化活動とその評価

小澤 豊一1)、橋本 昌宜1)2)、小林 倫子2)、梅澤 和夫2)3)、浅井 さとみ2)4)、宮地 勇人2)4)

1) 東海大学医学部付属病院薬剤部、2) 東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室、3) 東海大学医学部総合診療学系救命救急医学、4) 東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学

【目的】第3世代経口セフェム(3rd経口セフェム)はバイオアベイラビリティ(以下、BA)が低いこと、スペクトルが広く薬剤耐性菌選択の恐れがあるため、使用症例は限定される。3rd経口セフェム使用に対する抗菌薬適正化使用支援チーム(AST)活動を報告する。
【方法】周術期クリニカルパス(以下、パス)に登録されている抗菌薬をガイドライン・文献に基づき、3rd経口セフェムの変更・中止を各診療科に提案、協議のうえ、パスを変更した。変更後に3rd経口セフェムが処方された場合は、処方医へフィードバックを行った。さらに経口セフェムの抗菌薬使用密度(以下、AUD)について院内セミナーや会議体で継続的に全体周知した。
【結果】3rd経口セフェムのAUDは2.72(2015年度上期)から0.06(2020年度上期)まで減少し、2021年度上期まで低下状態を維持している。第1世代経口セフェムのAUDは0.14(2015年度上期)から0.93(2021年度上期)へ継続的に増加した。
【考察】本取り組みにより3rd経口セフェムのAUDが97.8%減少、BAが高くスペクトルの狭い第1世代セフェムが増加した。経口セフェム選択の適正化がなされたと考える。3rd経口セフェムの採用を中止せずに、AST活動を通じて3rd経口セフェムを大幅に減少できた。その後、採用中の3rd経口セフェムが販売中止されたが、混乱は来さなかった。

7.抗菌薬TDM ガイドライン改訂に伴うバンコマイシンTDM 業務の再構築

小原 健人1)、橋本 昌宜1)2)、小澤 豊一1)、岡本理沙子1)、井ノ上麻衣1)、岡田紗代子1)、廣原 成1)、丸谷 善紀1)、鈴木 優司1)

1) 東海大学医学部付属病院薬剤部、2) 東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室

【目的】抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2021(以下、GL2021)では、バンコマイシンのTDMについて、既存のトラフガイドより安全性が高いとされる血中濃度下面積(以下、AUC)ガイドへの変更が予定されている。AUCガイドへの移行に際しては、腎機能変動や腎代替療法の有無等でトラフガイドとの使い分けが生じることから、運用の複雑化や混乱が懸念された。今回、新TDMの円滑な実施に向け、業務を再構築したため報告する。
【方法】GL2021ドラフト版を参照し、新TDMへの移行に必要な要素を抽出した。これに基づく対応策を検討し、業務を再構築した。
【結果】新TDM業務を円滑に導入するために必要な要素として、①業務環境整備、②薬剤師教育、③多職種教育の3つが挙げられ、以下の通り対応した。①AUCガイドに対応したTDMソフトウエア使用環境を整備し、使用方法の手引きを作成した。また複雑な運用を整理し、誰でも正しく解析方法を選定できるフローチャートを作成した。②新TDMの理解を促すための研修会を実施した。③新TDMへの運用変更や注意点等についての説明資料を作成し、各会議体で医師・看護師へ啓発した。
【考察】既存業務との差異を考慮した新たな教育・啓発活動が必要であった。新TDMへ安全かつ円滑に移行するためには、十分な理解と戦略的な準備が不可欠であり、特に多職種連携が重要であることが確認された。

一般演題3:検査、疫学、基礎医学的検討 15:03 ~ 15:38

座長 川崎市健康安全研究所 三﨑 貴子

8.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株検出における

マイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoC®」の有用性

柿添 英文1)、浅井さとみ1)2)、佐伯 壽史1)、谷津 亮祐2)、梅澤 和夫2)3)、宮地 勇人1)

1)東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学、2)東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室、3)東海大学医学部総合診療学系救命救急医学

【目的】病原体等の迅速検査を目的に高速リアルタイムRTPCR装置GeneSoCRが開発され、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して15分程度の増幅反応時間で検出可能となっている。本研究においてはSARS-CoV-2の検出に加え、同変異株の同定に関する反応条件を検討した。
【方法】リアルタイムRT-PCR装置にはマイクロ流路型遺伝子定量装置GeneSoCR( 杏林製薬株式会社) を用いた。 PCR試薬にはSARS-CoV-2 GeneSoC N2杏林( 杏林製薬株式会社) のPCR Buffer とEnzyme mixを用い、プライマープローブはSARS-CoV-2変異検出用プライマープローブ各種( タカラバイオ株式会社) を用いてPCR条件(Reverse transcription、Hot start、Denaturation、Annealing)を検討した。分析感度は、変異株用コントロール(変異型)、野生株コントロール(野生型)新型コロナウイルス変異検出用ポジティブコントロールRNA(タカラバイオ株式会社) を使用した。
【結果】様々な組み合わせでPCR反応条件を検討した結果、 Annealingの温度と時間を最適化させることにより、以下の同定が可能であった。SARS-CoV-2 GeneSoC N2杏林試薬とPrimer/Probe N501Yの組み合わせでN501Y野生型と変異型ともに1×102 copies/μLで増幅曲線の立ち上がりが認められた。Primer/Probe L452Rとの組み合わせでは野生型では1×104 copies/ μ L、変異型では1×102 copies/μLで増幅曲線の立ち上がりが認められた。
【考察】GeneSoCRによる市販のプローブセットを用いた変異型の同定は、Annealing時間を延長するなどの工夫によ り可能になった。
【結論】GeneSoCRは新型コロナウイルスの迅速な診断のみならず、変異型の同定にも有用であった。

9.マイクロプレートを用いたβ-ラクタマーゼ産生性の半定量的評価法の開発

竹村 弘、中島 二如、寺久保繁美、越川 拓郎、大神田 敬

聖マリアンナ医科大学微生物学

【目的】Enterobacter cloacaeなどの腸内細菌科細菌は、染色体上に非伝達性のAmpC型β-ラクタマーゼ(以後AmpC)の遺伝子を持っていて、β-ラクタム薬の誘導によりβ-ラクタマーゼ(BL)を産生する。腸内細菌科細菌にはAmpC過剰産生株もあり時に臨床的に問題になる。BLの産生性の評価法としてニトロセフィン法があるが、定量的検査は手間や費用が掛かり病院の検査室では簡単には行えない。今回マイクロプレートを用いてBLの産生性を半定量的に評価する方法の開発を試みた。
【方法】96穴のマイクロプレートで4×MIC 濃度の抗菌薬(β-ラクタム薬)添加MHBに大腸菌の標準菌を接種(0.1mL/well)。そこにE. cloacae菌液を超音波破砕しタンパク量を一定に調整したBL粗酵素液を1/2希釈系列で0.1mL/ well添加して、18時間、35℃で培養した。
【結果】加えたBL粗酵素液中のBLの量が多いほど菌の発育があるwellが多くなった。すなわち菌の発育が観られた最小のBL粗酵素液のタンパク量が小さいほど、供試菌のBL産生性が高くなり、この濃度を判定することで半定量的な評価が可能である。また抗菌薬を変えることでBLの基質特異性も同時に評価できる。
【考察】本法は従来から用いられるニトロセフィン法によるUV検出でのBL定量法と良く相関することから、簡便で有効性が高い方法と考えられた。

10.Candida spp. のバイオフィルム形成に与える Stenotrophomonas maltophilia の影響

越川 拓郎1)、大神田 敬1)、竹村 弘1)

1) 聖マリアンナ医科大学 微生物学教室

【目的】Candida spp. とStenotrophomonas maltophiliaは共に日和見感染症であり、S. maltophiliaは多くの抗菌薬に耐性であるため、抗菌薬使用時に両菌種はヒト消化管内で共存している可能性が高い。そのため、両菌種が消化管を模した酸素濃度環境でバイオフィルム形成に与える影響を検討した。【方法】臨床分離されたCandida albicans、Candida tropicalis、 S. maltophiliaを使用し、ヒト消化管を模すために好気および微好気環境下でクリスタルバイオレット法にてバイオフィルム形成量を測定した。
【結果】酸素濃度に関わらずS. maltophiliaの単独培養では、バイオフィルム形成はほとんど認められなかった。しかし、好気環境では共培養することで、C. tropicalisでは単独培養よりもバイオフィルム形成量が増加し、C. albicans では単独培養よりもバイオフィルム形成量が減少した。しかし、 微好気環境ではバイオフィルム形成はほとんど認められなかった。
【考察】C. tropicalis はS. maltophiliaと共培養した際にバイオフィルム形成が増加し、その形成量は酸素濃度に依存していた。一方、C. albicans は共培養することで、酸素濃度に依存することなく、バイオフィルム形成量が減少することが示唆された。

11.川崎市における侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の発生状況と血清型分布状況について

西里恵美莉1)、小嶋 由香1)、淀谷 雄亮1)、赤木 英則1)、三﨑 貴子1)、常 彬2)、岡部 信彦1)

1) 川崎市健康安全研究所、2) 国立感染症研究所

【はじめに】川崎市において2013~2020年に届出のあった侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)患者と搬入された菌株の血清型別について検討したので報告する。【材料および方法】IPD340件の発生状況をまとめ、菌株321株(小児58株、成人263株)についてはMultiplex PCR法及び莢膜膨化法で血清型別を行った。【結果および考察】2013年に30件であったIPD 届出は、2018年の57件をピークに減少し、2020年は前年の半数の25件であった。15歳未満の小児の届出は、定期接種が開始された2013年は全体の半数の15件を占めていたが、翌年以降減少し8.5~28.0%の間で推移した。2020年は、他の多くの呼吸器系感染症と同様に届出は減少し、新型コロナウイルス感染症の流行による感染対策の強化も一因であると推察された。血清型別分布状況は、小児においては、2013年のPCV7定期接種開始時にはPCV7 に含まれない19Aが多かったが、19Aを含むPCV13に変更となった翌年より激減した。PCV13の接種率は各年度とも90%以上であり、2017年以降はPCV13含有血清型は検出されておらず、12F、24Fが多く分離された。成人の接種率は30%程度であり、3、12F、19AなどPPSV23含有血清型が多く分離された。血清型分布の変化も認められることから今後も継続した調査が必要であると考えられた。

12.本学におけるSARS-CoV-2 新規陽性者数の動向とスパイク蛋白の変異に関する検討

大神田 敬1)、越川 拓郎1)、竹村  弘1)2)

1) 聖マリアンナ医科大学微生物学、2) 聖マリアンナ医科大学病院感染制御部

【目的】本学は20年2月からCOVID-19に対する積極的な医療対策を実施している。本研究は、新規陽性者数の動向とSARS-CoV-2のS蛋白の変異を検討したので報告する。
【方法】20年2月~21年9月の期間中に各種核酸増幅検査によってSARS-CoV-2の検出を実施し、新規陽性者における各動向を解析した。陽性検体からのウイルスRNAの精製はスピンカラム法で行い、シーケンシングにてS蛋白のRND領域とSD2領域の塩基配列を解析した。
【結果】新規感染者数/ 検査数(陽性率)は、20年の139人 /7,448件(1.9%)に対し、21年は554人/19,113件(2.9%)であった。感染者のピークは、20年が4月/8月/12月に20~30人程度と漸増減していたのに対し、21年では1月に62人、8月に260人と急増し、9月は54人と急減した。S蛋白の変異は、20年では全てがB.1.1系統であったのに対し、21年ではB.1.1系統(B.1.1.284やB.1.1.214を含む)、 R.1系統B.1.1.7系統、B.1.617.2系統と様々な変異株が認められた。
【考察】本研究により、本学周辺地域(川崎市、横浜市)の疫学は東京都と同様であることが示唆された。本研究ではS蛋白の一部のみの解析であるが、多くの新規変異やサイレンス変異も確認されたため、引き続き新たな変異株の出現・拡散に留意が必要である。

一般演題4:症例報告I 15:40 ~ 16:01

座長 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科 鹿間 裕介

13.単包虫によるエキノコッカス症の一例

山崎 行敬1)、高野 知憲1)、加來 浩器3)、竹村  弘2)、國島 広之1)

1) 聖マリアンナ医科大学感染症学、2) 聖マリアンナ医科大学微生物学、3) 防衛医科大学校防衛医学研究センター広域感染症疫学・制御研究部門

【症例】30歳台の女性。モンゴル出身でX-2年に来日。X-1年の8月に悪心が出現し他院を受診、画像上エキノコッカス症を疑わせる肝脾の石灰化を伴う多発嚢胞および肺結節影を認めた。エキノコッカス抗体(EIA法) は陰性であった。精査目的で川崎市立多摩病院を紹介受診。画像検査は同様の所見であった。居住歴から保健所を経由してエキノコッカス単包虫(Echinococcus granulosus) 抗体を確認し陽性となった。エキノコッカス症の評価目的でX 年12月に当院紹介となった。
【既往歴】X-10年に腎結核のため、右腎摘出歴あり。
【生活歴】モンゴルも含め動物飼育歴なし、畑仕事なし。
【考察】わが国で報告されているエキノコッカス症はそのほとんどが多包虫(Echinococcus multilocularis) によるものであり、本症例のように単包虫(E. granulosus) によるエキノコッカス症は海外のみに存在し国内では感染しない。単包虫と多包虫では病勢が異なり、単包虫の方が比較的予後はよいとされている。本症例も自覚症状は落ち着いており、画像上も所見の悪化を認めていない。治療の原則は手術による切除とされているが、本症例のように肝・脾・肺と所見が多発しており、手術が容易ではない症例もある。他施設での意見も伺い経過観察中である。国内ではまれな単包虫エキノコッカス症について、報告する。

14.外科切除した肺コクシジオイデス症の一例

安部 貴志1)、山口 史博1)、神尾 義人2)、阪倉 俊介1)、伊藤 真理1)、小菅 美玖1)、新 健史1)、川村さおり1)、張  秀一1)、清水 翔平1)、藤嶋 彬1)、間瀬 綾香1)、刑部 優希1)、井上 大輔1)、山﨑 洋平1)、横江 琢也1)、鈴木 隆2)、鹿間 裕介1)

1) 昭和大学藤が丘病院 呼吸器内科、2) 昭和大学藤が丘病院 呼吸器外科

【症例】58歳男性。生来健康。201X年に渡米(カリフォルニア州)。その半年後に現地で血清学的に肺コクシジオイデス症と診断されFLCZを内服していた。201X+1年に帰国し当院を受診した。左上葉に23mm大の結節を認め気管支鏡検査を施行したが、培養を含め有意な所見を得られなかった。その後、結節内に空洞を認め、胸腔鏡下肺部分切除術を施行した。国立感染症研究所に切除検体の培養を依頼した結果Coccidioides immitisと同定、肺コクシジオイデス症との確定診断に至った。切除後は無治療にて経過観察中である。肺コクシジオイデス症は本邦では稀であり文献的考察をふまえ報告する。培養同定を行っていただいた国立感染症研究所の宮﨑義継先生、阿部雅広先生、星野泰隆先生に深謝申し上げます。

15.新型コロナウイルスワクチン接種後に発症した漿膜炎の1例

宮沢 直幹、佐渡 玲子、木村 泰浩、杉本 栄康

済生会横浜市南部病院 呼吸器内科

【症例】:90歳、女性。SARS-CoV-2ウイルス修飾ウリジンRNAワクチン2回目接種20日後に37.5℃の発熱、倦怠感が出現。発症5日後に受診し、CRP高値、胸部X線で左胸水が認められた。細菌性胸膜炎を疑い経口抗菌薬(GRNX400mg/日)で治療したが改善なく、発熱、倦怠感、食欲不振が遷延した。発症13日後には胸水は両側に拡大、心嚢水も出現した。非感染性の漿膜炎と考えステロイド(PSL30mg/日)内服で治療したところ、速やかに解熱し胸水・心嚢水も減少した。高齢発症全身性エリテマトーデス(SLE)も鑑別に挙がったが、SLEの診断基準は満たさなかった。PSLは漸減し5週間で治療終了、その後の再発はない。症状は一過性であり、ステロイドが著効したことから、新型コロナワクチン接種による免疫関連副反応と考えられた。新型コロナウイルス感染症蔓延防止のためにもワクチン接種は必須であるが、稀に重篤な免疫反応が認められることがあり、適切に対処することが重要である。

一般演題5:症例報告II 16:03 ~ 16:24

座長 藤沢市民病院臨床検査科 清水 博之

16.慢性中耳炎患者の耳漏検体より Candida aurisを検出した一例

伊澤 紘輝1)、安達  譲1)、金木  遥1)、中崎 信彦1)、二本柳 伸2)、高山 陽子2)、槇村 浩一3)

1) 北里大学病院 臨床検査部 微生物検査室、2) 北里大学病院 危機管理部 感染管理室、3) 帝京大学医真菌研究センター

【はじめに】Candida aurisは2009年に新規登録されたCandida属の新種である。日本では主に外耳道から分離される。一方、海外の分離株は薬剤耐性傾向で病原性が強く、致死率は30~40%と報告されている。今回、当院において慢性中耳炎患者の耳漏検体よりC.aurisを検出した症例を経験したので報告する。
【症例】左真珠腫により当院受診中の30代女性。X-1年12月頃から左耳より耳漏を認め、X 年1月にタリビットを処方も改善なく、その際の耳漏検体からC. aurisが検出。2月にマイコスポールに処方変更。3月に耳漏改善のため処方中止したが、6月に再び耳漏を認めマイコスポールを再開。2週間後に耳漏は改善した。
【微生物学的検査】検出されたCandida属は、CHROMagarCandida上では発色の無い集落であり、質量分析装置にてC. aurisと同定。薬剤感受性は良好な結果であった。菌株解析を帝京大学医真菌研究センターに依頼した結果、C.aurisのクレードII・東アジア株であった。
【まとめ】今回、Candida属の新種であるC. aurisによる慢性中耳炎の症例を経験した。現在までに国内で検出・報告されているC. aurisは感受性良好であり問題となっていないが、今後は海外の高病原性C. aurisが検出される可能性が危惧されるため、その検出や同定が行える体制を整備することが重要である。

17.COVID-19IgM 抗体陽性であった粟粒結核の一例

藤本 敦子、染川 弘平、井澤 亜美、金子 彩美、関 健一、田中 克志、藤井 裕明、田上 陽一、青木 絢子、渡邉 恵介、原 悠、堀田 信之、小林 信明、金子 猛

横浜市立大学大学院 医学研究科 呼吸器病学教室

【症例】90歳代、女性。3日前から発熱、呼吸困難を自覚し前医を受診。SARS-CoV-2抗原は陰性であったが、SARSCoV-2抗IgM 抗体陽性であり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)として当院に転院搬送となった。CT上両側びまん性すりガラス陰影を認め第1病日より人工呼吸器管理とともにファビピラビル200mg/日、シクレソニド1,200μg/日、また細菌性肺炎の合併を考慮しTAZ/PIPC 4.5g×4回/日、AZM500mg/日を併用。第2病日、第4病日にSARS-CoV-2 PCRを施行するも陰性であった。臨床所見の改善を認めず、第11病日の胸部CTにて両側びまん性粒状陰影を認めた。第16病日の気管痰より抗酸菌塗抹2+、LAMP法にてTb-PCR陽性となり粟粒結核の診断となった。第19病日よりINH200mg/日、RFP300mg/日、EB500mg/日を開始しその後全身状態は改善。第115病日に感染性の消失を認め他院に転院となった。粟粒結核は典型的な粒状影の他にすりガラス陰影などの多彩な陰影をきたすこともあり、肺炎を疑う時には常に抗酸菌感染症を念頭に置くべきである。

18.Candida kefyr菌血症をきたした腎盂腎炎の1例

浅井麻里子1)、斎藤 記子1)、治武 節子1)、稲葉 翼1)、今井 智子1)、荒井 博1)、清水 博之2)

1) 藤沢市民病院臨床検査室、2) 藤沢市民病院臨床検査科

【はじめに】Candida kefyr は以前Candida pseudotropicalis と称されていた酵母様真菌であり、多くは血液腫瘍を基礎疾患にもつ患者の尿や血液から検出される。今回、我々は腎盂腎炎の患者の血液と尿からC.kefyr を検出したので報告する。
【症例】89 歳女性。腹痛、発熱を主訴に受診。K. pneumoniaeによる結石性腎盂腎炎に対し尿管ステント留置およびTAZ/PIPC で治療。臨床経過は良好であったが、第16 病日に下腹部痛の訴え、炎症反応再燃を認め、採取された血液および尿培養検体からC. kefyr が検出された。L-AMB、その後FLCZ で治療し軽快退院された。
【細菌学的検査】血液培養のグラム染色ではグラム陽性の酵母様真菌で仮性菌糸は認められなかった。CHROMagar Candida II 寒天培地(BD)では1日目は白色コロニー、2日目は薄いピンク色のコロニーであった。FilmArray 血液培養パネルにて菌名同定を試みたが検出可能な真菌種は検出できなかった。外注検査に提出し、質量分析装置にてCandida kefyr と同定された。また、尿からはC. kefyr とC.albicans が検出された。
【考察】我が国ではC. kefyr の検出例は稀だが、近年C.guilliermondii やC. lusitaniae と共に増加傾向にある。今後さらなる症例蓄積が必要である。

特別演題II:16:30 ~ 17:25

座長 東海大学医学部付属病院医療監査部院内感染対策室 梅澤和夫

・種々のCOVID-19対策を有機的結合した神奈川モデルの構図
  神奈川県理事(医療危機対策担当)、医療危機対策統括官、藤沢市民病院 阿南 英明 先生